エコで快適な暮らしは本当に実現できるのか?自らの家を実験台にデータ収集に余念がない高村さんに、お話しをおうかがいしました。
長野県
高村さんのお家

2018.04.02
「僕、わがままなんで暑いのも寒いのも嫌なんです(笑)」
高村さんが長野県に今の家を建てたのは2011年のこと。長野県に赴任してから6年近く住んでいた2LDKのアパートを引き払い、念願の一戸建暮らしが始まりました。
新しい家はソーラーサーキット工法を採用し、太陽光発電や燃料電池を取り入れたエコ仕様。というのも、高村さんは大学の教授。日夜、教鞭を振るいながら、住宅におけるライフサイクルアセスメント(LCA)を研究している関係から、自らの家を実験台(?)にして、本当にエコで暑くも寒くもない快適な暮らしができるのかを立証しようとしているのです。
冬は氷点下10℃近くになることもあるという長野県で「床暖房だけで快適に過ごせますよ」と高村さん。親戚や知人が遊びに来ても、「高村邸は快適だ」と、みな口を揃えて言うそうです。といってもそれはあくまでも体感の話。そこで高村さんは、家を建ててもらった工務店様に、ある細工を依頼していました。
「1階、2階、リビングなど、分電盤を細かく分岐させ、メーターを仕込んだほか、水道の流量計や燃料電池の計測センサーまで設置してもらいました。間取りやデザインは妻にまかせっきりですけど(笑)、そこだけは私からお願いしました」と、どこでどのくらいエネルギーを消費しているのかを、数値として表せるようにしているのです。そのうえ、長野県の工務店様の協力を得て、ソーラーサーキット工法を取り入れた住宅、そうでない住宅など複数を対象に、日々のデータ収集にも取り組んでいるのです。
「私は妻と小5の娘の3人暮らしですが、家族構成や行動パターンによって何が効率的で何が非効率的なのか、ということが7年間住んでみて、少しずつわかってきました」と高村さん。いずれはそのデータを元に、それぞれのライフスタイルに合わせた効率的な住居を提案できるようになりたいとのこと。
「まだまだ日本ではコストやデザイン性が重視されていますが、もっともっと環境のことを考えて家を設計してもらいたいものです。そこで育つ子供は自然に環境について意識し、それが受け継がれていけば、環境負荷も自ずと減らせようになると思うんです」