構造の仕組みや仕様で
湿気や蟻害による劣化を防ぐ

ソーラーサーキットで注目したいのは、木造住宅の劣化を防ぐための仕組みが施されていることだ。
POINT.1
外断熱
外断熱・二重通気工法「ソーラーサーキット」は、1988 年以来、住まいに快適な環境をもたらす技術として、長年にわたって全国に普及してきた。
その根底には、ソリューションを通じて社会に貢献するという理念がある。構造の耐久性や性能の低下軽減、創エネ・省エネの工夫など、これからの環境、暮らしに対する長期的な視点から生まれた工法や建材について、それぞれ担当の松山知生さんと橋本仁志さんに聞いた。
POINT.2
基礎の外周部分への配慮
2つ目のポイントは、基礎の外周部分への配慮。コンクリートの中性化を防ぐため、基礎の外側を断熱材で覆う仕様となっている。基礎自体の温度低下を防ぎ、アンカーボルトの結露を抑制する効果も発揮する。
また湿気とともに木造住宅の弱点となっているのがシロアリ被害だが、これについても対策が確立している。細かいステンレスの編み目のシートを基礎回りに張り巡らせることでシロアリの侵入を防ぐ「ターミメッシュフォームシステム」が3 つ目の劣化防止のポイントだ。従来の薬剤塗布による防蟻対策は、定期的に薬剤を散布し直す必要があるが、この方法であれば物理的にシロアリを通さないので、長く効果が持続する(定期的な点検は必要)。このシステムは2001年から採用されて、20 年以上、効果が認められているという。

災害の多い日本の屋根に負担を
かけない屋根材一体型太陽電池

住宅業界では、建物の高断熱化、設備機器の省エネ化とともに、太陽光発電の普及という形で、低炭素化が促進されている。
そうした動きに対応してカネカが開発したのが、屋根材一体型の太陽電池だ。太陽電池のマーケティング担当の橋本さんは「日本は台風や地震などの災害が多いことから、戸建て住宅に太陽電池を設置する際は耐風性能と軽量化が重要なポイントであると考えました」と語る。
従来の太陽電池は、屋根材の上に架台を取り付けて設置するという方式をとっていた。この場合、架台の重さが建物の負担となり、架台を設置するためのビス穴などが雨漏りを引き起こす懸念があった。
「こうした課題を突き詰めた結果、屋根材一体型という発想にたどりつきました」と橋本さん。
同社の屋根材一体型太陽電池は、平板陶器瓦、化粧スレート瓦などに対応。屋根材と太陽電池を一体とすることで、風にも強く、屋根全体を軽量化し躯体への負荷を軽くする太陽電池の開発を実現。
「目指したのは、“ 災害が多い日本の屋根に負担を掛けない太陽電池” です。また、設置時に穴をあけることを最小限に抑えることで屋根そのものの防水性も損ないません」(橋本さん)。
屋根材一体型太陽電池左側がガラス表面に凹凸加工を施すことで反射光を分散させて眩しさを抑制した防眩タイプ。入射角が大きい場合でも反射率が小さく、北面設置における光害のリスクが低減する。今まで設置できなかった方位・環境でも太陽電池モジュールの設置を可能に。