2025.03.24お金のあれこれ

団信とは?住宅ローンの返済を保障できる保険について理解しよう

団信とは住宅ローンの返済を保障する生命保険の一種です。マイホーム購入後に、契約者が死亡や高度障害状態となってしまっても家族は家を失わずに済むというメリットがあります。この記事では、住宅購入を考えている方に向けて、以下の内容をわかりやすく解説します。
  • 団信の基礎知識
  • 加入するメリットと注意点
  • 健康上の理由で審査に落ちてしまった場合の対処法
これから住宅ローンを契約する方、団信への加入を不安に感じている方は、ぜひ最後までお読みください。

団信とは?

団信とは、「団体信用生命保険」の略称で、返済中の不測の事態に備えるための保険です。住宅ローンの契約時に申し込むのが一般的なため、住宅ローンと同じ銀行や金融機関で加入します。万が一、契約者が死亡や高度障害状態に陥って返済が滞ってしまっても、ローンの残債を保険会社に支払ってもらえる仕組みなので安心です。

保険料は金融機関が支払う

団信が従来の生命保険と異なるのは、契約者が金融機関となる点です。そのため、保険料の支払いと受取人は金融機関となり、住宅ローン契約者は被保険者として扱われます。

団信に関する支払いは直接的にはおこなわず、住宅ローンの金利に上乗せする形で金融機関に納めるというのも特徴です。死亡や高度障害状態のような基本保障に対して特別な上乗せがされるケースはないものの、オプションとして特約を追加した場合は年0.2%~0.3%程度の金利が住宅ローンに上乗せされます。

加入には年齢制限がある

団信への加入には年齢制限が設けられているものの、住宅ローンの基準と大きく変わりません。多くの金融機関は、住宅ローン契約時に団信への加入を求めているためです。

たとえば、住宅金融支援機構の機構団信特約制度では、告知日に満70歳未満であれば加入できます。ただし、特約をつける場合は年齢制限が低く設定され、銀行によっては46歳を超えると追加できる特約が限られるというケースもあります。
(参考:住宅金融支援機構「機構団信特約制度について」)

住宅ローン契約後には加入できない

団信への加入は、住宅ローンの新規申し込み時というのが原則となっています。借り換えの場合は、新しい金融機関と契約した時点で以前の契約は無効となる仕組みです。そのため、年齢が上がってからの借り換えは団信への加入が難しくなる可能性もあります。

また、住宅ローン申し込み時には必要と感じていなかったとしても、契約後に入るのは難しいケースがほとんどです。特約の追加や変更に関しても同様のため、申し込み時には団信の保障内容についても十分に検討しましょう。

団信に入るかどうかは選べる

団信への加入は原則として任意なものの、多くの金融機関では融資をおこなう必須条件となっています。契約者に万が一の事態が発生した場合、住宅ローンの残債が回収できなくなるリスクを防ぐためです。

金融機関によっては団信への加入を任意としている住宅ローンを扱っているので、保障を必要としない場合は検討してみるといいでしょう。

団信に加入するメリット

住宅ローンの契約時に団信へ加入するメリットはいくつかあります。住宅ローンは長期にわたる借入となるため、さまざまなリスクに備えておくことが重要です。以下のメリットを参考に、ご自身にとっての必要性を考えてみましょう。

住宅購入後の不安やリスクが減る

マイホーム購入者にとって、住宅ローンの返済は大きなプレッシャーとなります。死亡に限らず、病気やケガなどによって返済が滞ると、家を手放す選択を余儀なくされる可能性もあるためです。

団信に加入しておけば、予期せぬアクシデントに見舞われても住宅ローンの返済を保険会社に肩代わりしてもらえます。とくに、小さなお子さんのいるご家庭では、経済的な負担を減らせるのでおすすめです。

特約で保障範囲を広げられる

団信の保障範囲は死亡や高度障害状態が基本となっているものの、特約を追加すれば特定の疾病や介護状態でも適用されます。特約の内容や条件は保険によって異なるので、代表的な例を紹介しましょう。

特約の種類 概要
がん保障 所定のがんの診断を受けた際に適用
3大疾病保障 がん・急性心筋梗塞・脳卒中に罹患して所定の状態になった際に適用
8大疾病保障 3大疾病に加えて、高血圧症・糖尿病・慢性腎不全・肝硬変・慢性膵炎を発症し、所定の状態が続いた際に適用
介護保障 ケガや病気によって公的介護保険制度で規定された要介護状態になった際に適用

特約によっては保険金が支払われない「免責期間」が設けられているなどの規約もあるので、金融機関の担当者に確認してからの契約が重要です。

保険金が課税対象外

従来の生命保険であれば、保険金を受け取ると「一時所得」として扱われます。所得税や贈与税の対象となるため、確定申告の手続きもおこなわなければなりません。しかし、団信の保険金に関しては契約者が金融機関なので、課税対象から外れます。手元に現金が残るわけではないものの、住宅ローンが完済されて住まいが残ったうえに税金の支払いも不要という仕組みです。

団信への加入で注意したいポイント

住宅ローン加入時に団信へ加入するメリットがある一方で、注意したいポイントもあります。人によってはデメリットと感じるかもしれませんが、対策を講じて問題を解消しましょう。

生命保険料控除が受けられない

生命保険料控除とは、生命保険料の支払額に応じてその年の所得から一定金額が差し引かれる制度です。しかし、団信の保険料は銀行や金融機関が支払うため、住宅ローン契約者は対象となりません。

保障内容が不十分

団信の保障は住宅ローンの完済がメインとなるため、手元に現金が振り込まれる保険とは異なります。入院や治療費に備えたい場合には保障が不十分となるため、新たに生命保険や医療保険への加入を検討しましょう。

加入は健康状態による

団信の加入には健康状態の告知が必要で、内容によっては審査に通らない可能性もあります。持病や既往歴のある人は不安に感じるかもしれませんが、虚偽の申告は「告知義務違反」となり契約解除や取り消しの対象です。健康状態が改善すれば審査に通る金融機関もあるので、現状を正直に告知しましょう。

団信に入れなくても住宅ローンを組む方法

健康状態によっては団信の審査に通らず、住宅ローンの契約が不成立となってしまうケースもあります。そこで、健康上の問題で加入できなかった場合の対処方法を2つ紹介しましょう。

ワイド団信

ワイド団信とは、持病や既往歴、または治療中などの健康上の不安があっても比較的入りやすいタイプの団信です。ただし、通常の団信と同じく審査があるので、誰もが加入できるわけではありません。取り扱う金融機関が少なく、保険料も高いというのも課題です。

フラット35

「フラット35」は全期間固定金利を提供していますが、団信への加入は義務づけられていません。そのため、審査に落ちてしまった人でも、住宅ローンを借りられるというのがメリットです。ただし、金利が高く、耐久性・可変性や省エネルギー性などの住宅基準を満たす必要があるので注意しましょう。また、リスクを回避するためには、生命保険への加入がおすすめです。

団信は住宅ローンと一緒に考えよう

団信とは、住宅ローン契約者が死亡や高度障害に陥った際に残債をゼロにできる保険です。特約をつければ、がんや脳卒中、生活習慣病など多岐にわたるリスクをカバーできるというメリットもあります。健康状態や年齢によっては加入できない可能性や、住宅ローン契約後に加入できないという点には注意が必要です。金融機関によって保障内容や条件が異なるため、それぞれの内容を理解したうえで検討しましょう。