2025.03.24お金のあれこれ

GX志向型住宅とは?基準やZEHとの違いや補助金について解説

家を建てるタイミングを考えるとき、補助金制度や住宅の省エネ性能が気になる方も多いのではないでしょうか。近年、光熱費の高騰や環境問題への関心が高まる中、補助金を活用しながら省エネ性能の高い住まいを手に入れることが注目されています。

そこで話題となっているのが、「GX志向型住宅」です。しかし、具体的にどのような住宅で、建てるときのメリット・デメリットは何なのかを把握していないと、選択できないと思う方も多いでしょう。

本記事では、GX志向型住宅の特徴や基準、ZEHとの違いや補助金制度の詳細について解説します。

GX志向型住宅とは?

「GX志向型住宅」とは、建物のエネルギー効率を一層高め、環境負荷を軽減することを目的とした、新たな住宅基準を満たす住宅です。

脱炭素志向型住宅とも呼ばれ、国が推進するGX(グリーントランスフォーメーション)の住宅・建築物分野での重要な存在として位置づけられています。GX志向型住宅は、再生可能エネルギーを積極的に活用し、エネルギー自給率を高めている点が特徴です。

GX志向型住宅の基準

GX志向型住宅には、以下の3つの基準が設けられています。
  • 断熱等性能等級が「6以上」であること
  • 再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率が「35%以上」
  • 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率が「100%以上」
※寒冷地や狭小地等、上記基準より一部緩和される場合があります。

まず、断熱性能等級とは、住宅品質確保促進法(品確法)によって定められている住宅の断熱性能を表す指標で、数字が大きいほど断熱性が高いことを表します。国が2025年4月より義務付ける省エネ住宅の基準が等級4以上となるため、GX志向型住宅で求められている基準はより高いことがわかります。

そして、一次エネルギー消費量とは、電気やガス、石油などを利用するときに発生するエネルギーの総量のことです。GX志向型住宅に適応するには、住宅の性能を高めたり、省エネ設備を導入するなどでして、一次エネルギー消費量の削減率を高める必要があります。

具体的には、基準を満たすために以下のような性能や設備を導入する方法があるため、建築会社に相談してみましょう。
  • ペアガラス、トリプルガラスを用いた断熱サッシを取り入れる
  • エコキュート、ハイブリッド給湯器を導入する
  • 照明設備はLEDを採用する
  • 太陽光発電、蓄電池システムを導入する

ZEHとの違い

省エネ住宅といえば、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と耳にしたことがある方も多いかもしれません。ZEHとは、高い断熱性能や省エネ設備を導入して、家庭で使うエネルギーを大幅に削減し、太陽光発電などでエネルギーを補い、年間の一次エネルギー消費量を実質ゼロにする住宅のことです。

環境に配慮し、エネルギーコストを抑えられる住宅として広く知られていますが、ZEHとGX志向型住宅を比較すると、下表の違いがあります。

  再生可能エネルギーを除く一次エネルギー削減率 断熱性能等級
ZEH 20%以上 5以上
GX志向型住宅 35%以上 6以上

省エネ性能については、「再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量の削減率」において、ZEHは通常の住宅と比べて20%以上の削減が求められています。一方で、GX志向型住宅では、さらに厳しい35%以上の削減という基準です。

そして、断熱性能の基準については、ZEHが「断熱性能等級5以上」である必要があるのに対し、GX志向型住宅では「断熱性能等級6以上」にしなければなりません。GX志向型住宅は、ZEHよりも高い断熱性を持ち、冷暖房効率も高い住宅であることがわかります。

GX志向型住宅のメリット・デメリット

これから新築住宅を建てるときに、GX志向型住宅を選択するか悩んだときのために、メリットとデメリットを理解しておきましょう。

メリット

GX志向型住宅を建てる大きな利点のひとつは、補助金を受け取れることです。省エネ性能を備えた住宅は、一般的に建設費用が割高になる傾向があります。しかし、GX志向型住宅を建てると最大160万円の補助金が交付されるため、初期費用の負担を軽減できます。

ただし、補助金の支給時期は住宅完成後の3~6カ月後となるため、一時的に費用を立て替える点には注意が必要です。

さらに、家の断熱性や省エネ性が高まるため、光熱費の節約や快適な住環境を保つことにもつながります。地球環境への配慮ができることも、メリットの1つと言えるでしょう。

エネルギー価格の高騰の影響により光熱費が上昇傾向にある中、GX志向型住宅は、冷暖房の効率が良く、年間を通して快適な室内環境を維持しやすいのが特徴です。

また、一部例外を除き太陽光発電システムなどの再生可能エネルギー設備を導入するため、光熱費はより削減が見込めます。性能に優れた住宅は近年注目が高いこともあり、将来物件を売却する場合には、周辺物件と差別化しやすい要素を提示できる点が期待できます。

関連記事:太陽光発電で電気代をタダにできる?光熱費を節約してお得に暮らそう!

デメリット

GX志向型住宅のデメリットの1つは、建築費用が高くなることです。高い省エネ性能を備えるための設備や仕様にする必要があるため、建築費用は割高になるケースが一般的です。

自己資金で賄えない場合は、住宅ローンの借入額が増えることもあるでしょう。そして、補助金を受け取ることで一部負担が軽減されるものの、ローン金額が増えると保証料や手数料などの関連費用も上がるため、トータルコストに注意する必要があります。

また、設計や施工が複雑になることと、維持費用がかかる装備を導入する点も見過ごせないポイントです。高い省エネ基準を満たすために、設計費や施工費が高くなったり、工期が延びたりすることもあるでしょう。

加えて、GX志向型住宅には太陽光発電システムや蓄電池などの設備を導入するケースが多いため、メンテナンス費用がかかることも理解しておかなければなりません。住み始めてからも維持費がかかることを、あらかじめ考慮しておきましょう。

GX志向型住宅で活用できる補助金「子育てグリーン住宅支援事業」

GX志向型住宅を建てるときには、「子育てグリーン住宅支援事業」という補助金制度を活用できます。2030年度までの新築住宅のZEH基準義務化に向けて設けられた制度です。

「子育てグリーン住宅支援事業」は、省エネ性能の高い新築住宅や、既存住宅の省エネ改修を促進することを目的としています。

補助額は住宅の種類や条件に応じて異なり、GX志向型住宅の場合は1戸あたり最大160万円が交付されます。また、長期優良住宅やZEH水準住宅も補助対象となっていますが、住宅の種類によって補助額は異なります。

なお、新築だけでなく、既存住宅の省エネリフォームも補助対象となります。申請は登録指定業者に依頼する必要があるため、補助金を使って工事をする場合には、必ず建築会社に相談しましょう。

参照:子育てグリーン住宅支援事業について|国土交通省

GX志向型住宅を建てるには専門家に相談しよう

GX志向型住宅は、省エネ性能や環境配慮において次世代型の基準を満たした住宅として注目されています。これまで普及が進められてきたZEHと比較して、さらに高い断熱性能や一次エネルギー削減率が求められるのが特徴です。

補助金を活用できるため、家づくりにかかる費用負担を軽減できる点も、大きなメリットと言えるでしょう。また、省エネ性能が高い住宅は、光熱費の削減も期待でき、住み心地のよい家を建てることにもつながります。

補助金を活用できるGX志向型住宅を選ぶことで、より理想的な家づくりができるかもしれません。この機会に、具体的な家づくりの計画を進めてみてはいかがでしょうか。