2023.09.04家を建てるなら

高気密・高断熱の家とは?知らないと後悔するメリット・デメリット8選!

「高気密・高断熱の家ってどんな住宅?」「メリット・デメリットを知りたい」とお悩みの方に向けて、本記事では以下の内容を解説します。
  • 高気密・高断熱の家とは
  • メリット・デメリット
  • 後悔しないポイント
本記事で高気密・高断熱住宅の基礎知識を身につけて、快適な家とはどういう家かについて考えてみましょう。
 

高気密・高断熱の家とは?基準や特徴を解説

高気密・高断熱の家とは、気密性、断熱性に優れた住宅のことです。高気密住宅は隙間が少ない家、高断熱住宅は断熱性能を高めた家を指します。これらの特徴を併せ持つことで、外気の影響を受けにくく、快適な室温で保ちやすくなります。
 
ただし、気を付けなければいけないのは、「高気密・高断熱の家」という言葉には具体的な定義はないという点です。明確な定義がないため、性能があまり高くない家であっても「高気密・高断熱の家」として売り出せてしまいます。そこで、ここからは最低限満たしておきたい気密性・断熱性の具体的な数値を紹介します。
 

高気密の基準はC値1.0以下

住宅の気密性は「C値」で表され、数値が低いほど気密性が高いことを表します。このC値の測定は、住宅建築において法的な義務がなく、建設会社が任意に測定を実施するものとなっています。一般的に、高気密住宅と言われる建物のC値は1.0以下です。より高い性能を求めるならC値0.7以下を目安として、C値0.5以下を目指すと良いでしょう。

高断熱の基準は地域によって異なる

住宅の断熱性は「Ua値」や「断熱等級」で表されますが、基準値は地域によって異なります。それぞれの意味や基準値は以下のとおりです。

Ua値とは

Ua値は住宅の断熱性を表す数値です。数値が低いほど断熱性が高いことを意味します。下図のように地域によって基準値が異なり、関東から九州の場合はUa値0.87以下が目安となっています。

なお、上記のUa値は最低限満たすべきレベルで、断熱性能が特別高いわけではありません。より性能を求める場合、7~5地域の温暖地なら0.6以下、4~3地域の寒冷地なら0.5以下、2~1地域の極寒値なら0.4以下を目指すと良いでしょう。

断熱等級とは

断熱等級とは、住宅の省エネ性能を表す基準のひとつです。等級はUa値等によって判断します。断熱等級に対応するUa値は、地域によって以下のように異なります。

断熱等性能等級 地域区分
1(夕張等) 2(札幌等) 3(盛岡等) 4(会津若松等) 5(水戸等) 6(東京等) 7(熊本等) 8(沖縄等)
等級7 Ua値 0.20 0.20 0.20 0.23 0.26 0.26 0.26 -
等級6 Ua値 0.28 0.28 0.28 0.34 0.46 0.46 0.46 -
等級5 Ua値 0.40 0.40 0.50 0.60 0.60 0.60 0.60 -
等級4 Ua値 0.46 0.46 0.56 0.75 0.87 0.87 0.87 -

※国土交通省『住宅性能表示制度の見直しについて』を参考に作成

なお、2025年4月以降は、すべての新築住宅で断熱等級4以上の水準が義務化されます。


高気密・高断熱の家のメリット5選

高気密・高断熱の家の代表的なメリットは以下のとおりです。
  1. 季節に関係なく快適に過ごしやすくなる
  2. 光熱費が抑えやすくなる
  3. 家が長持ちする
  4. 遮音性が高くなりやすい
それぞれのメリットを詳しくチェックしていきましょう。

1. 季節に関係なく快適に過ごしやすくなる

高気密・高断熱の家は外気の影響を受けにくいため、エアコンの効率が良く室内を快適な温度で保ちやすいです。夏は涼しく、冬は暖かい家になるため、季節に関係なく快適に過ごしやすくなります。せます。場所の違いによる温度差が出づらいため、家中どこでも心地よく過ごしやすくなります。

2. 光熱費が抑えやすくなる

冷暖房にかかるコストを抑えられるため、光熱費が抑えやすくなる点もメリットです。特に、冷暖房費がかさみやすい夏や冬に効果が実感できるでしょう。一般社団法人 住宅生産団体連合会が発行しているパンフレットによれば、従来の住宅と比べて一般的な省エネ住宅で年間約6万円、さらに高度な省エネ住宅だと年間約12万円の光熱費が削減できるという試算が出ています。

3. 家が長持ちしやすくなる

高気密・高断熱の家は長持ちしやすいです。建物の劣化の原因となるカビや結露が発生しにくいことが理由です。気密性が十分でないと内部結露が起こりやすく、快適な温度も保ちにくくなります。不十分な換気も、カビや結露の発生リスクを高めるので注意しましょう。

4. 遮音性が高くなりやすい

遮音性の高さも特徴のひとつです。ドアや窓などの開口部に発生する隙間が少ないため、音の出入りを軽減します。また、断熱材には室内の音漏れを防ぐ防音効果もあるため、小さい子どもやペットがいる場合でも、音漏れによる近所迷惑などの心配も小さくなるのでのびのびと暮らせます。


高気密・高断熱の家のデメリット

高気密・高断熱の家のデメリットは以下のとおりです。
  1. 一般的な住宅に比べて価格が高い
  2. 反響音が気になる場合がある
  3. 燃焼系の暖房器具に注意が必要
それぞれのデメリットを詳しくみていきましょう。

1. 一般的な住宅に比べて価格が高い

高気密・高断熱の家は、一般的な住宅に比べて価格が高い傾向があります。性能の良い高気密・高断熱住宅を建てるためには、専用の資材や工事が必要となるからです。ただし、光熱費はかなり抑えられるので、長い目で見れば決して高すぎるということはないでしょう。

2. 反響音が気になる場合がある

 高気密・高断熱の家では、反響音の対策について考えておく必要があります。構造上、室内で発生した音の逃げ場がなく、家の中に反響しやすいのです。対策をしなければ生活音が大きく感じられる可能性があるので、音に敏感な人は注意が必要です。具体的な対策としては、
  • 稼働音の静かな家電を導入する
  • 防音のカーテンやカーペット、家具を設置する
  • 間取りを工夫する
などの方法が有効です。

3.燃焼系の暖房器具に注意が必要

高気密・高断熱の家では、以下のような燃焼系の暖房器具は推奨されていません。
  • 石油ストーブ
  • 石油ファンヒーター
  • ガスファンヒーター
上記の暖房器具には、換気が十分でないと二酸化炭素や一酸化炭素の濃度が上昇し、中毒症状を引き起こす危険性があります。燃焼系の暖房器具を使用する場合は特にこまめな換気が必須ですが、寒い冬に窓を開けるとせっかくの高気密・高断熱性能が薄れてしまうので注意が必要です。燃焼系の暖房器具を使いたい場合は、あらかじめ建築会社に相談してみると良いでしょう。

 

高気密・高断熱の家づくりで後悔しないポイント

 高気密・高断熱の家づくりで後悔しないポイントは以下のとおりです。
  1. 施工中の現場をチェックする
  2. 窓や玄関の断熱も重視する
それぞれの内容を詳しく解説します。

1. 施工中の現場をチェックする

 施工中の現場は必ずチェックしましょう。断熱材は隙間なく並べられているか、打ち合わせ通りの断熱材が使われているか、気密施工が行われているかなどのほか、断熱材が適切に保管されているかもチェックポイントです。いずれも建築後は確認が難しいため、施工中の現場を見ておくことをおすすめします。

2. 窓や玄関の断熱も重視する

 高気密・高断熱の家をつくるためには、壁や屋根だけでなく窓や玄関の断熱性も重要です。窓や玄関などの開口部は、意外と見落としがちなので要注意です。特に、窓は素材や設置場所、大きさによって気密性・断熱性に影響を及ぼしやすい箇所なので覚えておくと良いでしょう。

まとめ

高気密・高断熱の家とは、高い気密性と断熱性を兼ね備えた住宅のことです。季節に左右されない快適な空間が1年を通して味わえます。ただし、高気密・高断熱に明確な定義はなく、実際には性能が十分でなくても「高気密・高断熱の家」として売られている場合があるので注意が必要です。性能をチェックする際は、本文で解説したC値・Ua値・断熱性等級などが参考になります。また、職人の施工技術、窓・玄関といった開口部も性能を左右する重要なポイントなので覚えておきましょう。