2023.09.04家を建てるなら

【2023年版】ZEH住宅とは?メリット・デメリット8選と補助金制度を徹底解説

新築物件で良く耳にするようになったZEH(ゼッチ)。本記事では「そもそもZEHってなに?」「どんなメリットがあるの?」「補助金の対象になるって本当?」と疑問の方に向けて、以下の内容を解説します。
  • ZEHの仕組み
  • メリット・デメリット
  • 補助金制度の種類・金額・申請方法
マイホームの購入を検討している方は必見の内容なので、ぜひ参考にしてください。
 

ZEH住宅とはエネルギー収支をゼロにする家

ZEH(ゼッチ)とは、家庭で「使うエネルギー」よりも「創り出すエネルギー」のほうが多い、もしくはプラスマイナスゼロになることを目指した住宅です。正式名称をNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と言います。
 
「断熱」と「省エネ」によって必要な消費エネルギーを減らし、「創エネ」でエネルギーを創り出すことによって年間のエネルギー収支をゼロにする仕組みです。
 
 出典:資源エネルギー庁ウェブサイト(https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/housing/index03.html)
ZEHには種類があり、戸建ての場合、エネルギー消費量の削減率やその他の要件を満たしているかによって以下の6つに分類されます。
  • ZEH
  • ZEH +
  • Nearly ZEH
  • Nearly ZEH +
  • ZEH Oriented
  • ZEH Ready
政府は「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」と発表しており、今後はZEHが住宅のスタンダードになっていくことが予想されています。

ZEH住宅にするメリット5選

ZEH住宅にするメリットは以下のとおりです。
  1. 少ないエネルギーで快適に過ごせる
  2. 光熱費を節約できる
  3. 余った電気で収益を得られる
  4. 停電時でも電気が使える
  5. 高値での売却が期待しやすくなる
それぞれについて詳しく解説します。

1. 少ないエネルギーで快適に過ごせる

冷暖房の消費量が増えがちな夏や冬でも、少ないエネルギーで快適に過ごせます。優れた断熱性によって外気の影響を受けにくいため、冷暖房に過剰に頼らなくても夏は涼しく冬は暖かい空間が持続されやすいです。
 
また、住宅全体で一定の室温を保てるため、廊下や浴室が極端に冷えることがありません。急激な温度変化が軽減できるため、乳幼児やお年寄りがいるお家でも安心感が増します。
 

2. 光熱費を節約できる

ZEHは、一般的な住宅に比べて光熱費を節約しやすくなります。高い断熱性能と高効率の設備によって消費エネルギーを減らしたうえで、さらに太陽光発電で生み出した電力を使用できるためです。一般社団法人 住宅生産団体連合会が発行しているパンフレットによれば、ZHE水準の住宅なら従来の住宅と比べて東京23区等で年間約12万円の光熱費が削減できるという試算が出ています。
 

3. 余った電気で収益を得られる

太陽光発電で創ったエネルギーの一部で、売電収入を得られる可能性があります。家庭で使いきれずに余った電力は、2023年現在で16円/kWhで売電できます。
 
ただし、売電価格は年々下がっており、一般家庭が太陽光発電で大きな収益を得ることは難しい傾向があります。まずは売るよりも、創り出したエネルギーで家庭の光熱費をまかなうことを目標にするといいでしょう。
 

4. 停電時でも電気が使える

蓄電システムがあれば、停電しても溜めておいた電気を使えます。近年では、台風や地震などの災害によって大規模な停電が起こり、復旧に数日を要した事例もあります。たった数日と思うかもしれませんが、電気が使えないと以下のような困りごとが発生します。
  • エアコンが使えず危険な暑さ・寒さに耐えるしかない
  • スマホの電池がなくなり通信できない
  • 冷蔵庫の食料がだめになる
日頃から電気を蓄えておけば、一時的に電力の提供がなくなってもすぐに困ることはありません。

5. 高値での売却が期待しやすくなる

ZEH住宅は、売却する際に有利な売買価格で交渉できる可能性があります。住宅の資産価値を表す指標のひとつに「BELS(ベルス)」という認証制度があり、ZEHはこのBELSにおいて高い評価を受けることができます。一般社団法人「住宅性能評価・表示協会」という第三者機関によって価値が評価されるため、評価されていない物件よりも信頼性が上がります。


ZEH住宅にするデメリット3選

ZEH住宅にするデメリットは以下のとおりです。
  1. 初期費用がかかる
  2. 設計に制限がかかる
  3. 立地や天候に発電量が左右される
それぞれについて詳しく解説します。

1.初期費用がかかる

ZEH住宅は、一般的な戸建て住宅に比べて初期費用がかかります。ZEHの基準を満たすために省エネ設備や太陽光発電システムを設置する必要があります。また、設備を長く使うために定期的なメンテナンスや点検も必要となります。
 
具体的には、建築費用で一般的な建設費用にプラスして数百万円。各種設備はメーカーによって保証制度が異なるため、無料点検補償の期間などを事前にチェックしておくと良いでしょう。また、後述する国の補助金制度を利用してトータルコストを抑える方法もあります。
 

2. 設計に制限がかかる

一般的な住宅に比べると、デザインや間取りなどの設計に制限がかかりやすいです。
 
特に制限がかかりやすいのは屋根です。太陽光発電システムの効率を良くするために、デザイン性よりも角度が重視されます。
 
また、省エネに必要な設備にスペースをとられてしまい、間取りに影響が出る可能性もあります。
 

3. 立地や天候に発電量が左右される

太陽光発電システムの発電量は、立地や天候に左右されます。日射量が安定した土地であれば太陽光発電の恩恵を受けやすいですが、日射量が少なくなる梅雨や寒い時期などは発電量が減る傾向があります。周囲に高い建物があり日陰になりやすい場合も、十分な発電量が得られない可能性があります。


【2023年版】ZEH補助金制度の種類・金額・申請方法を紹介

2023年現在、ZEHの新築住宅を購入または建築する方が対象の補助金制度の種類・対象住宅・補助金額は以下の通りです。

補助金制度 対象の住宅 補助金額 管轄 公募方法
ZEH支援事業

・ZEH
・Nearly ZEH
・ZEH Oriented

55万円/戸 経済産業省
環境省
先着順
・ZEH+
・Nearly ZEH+
100万円/戸
次世代ZEH+(注文・建売・TPO)実証事業 ・ZEH
・Nearly ZEH
100万円/戸
次世代HEMS実証時事業 ・ZEH+
・Nearly ZEH+
112万円/戸
こどもエコすまい支援事業 ・ZEH
・ZEH Ready
・ZEH Oriented
・Nearly ZEH
100万円/戸 国土交通省 予算上限に達するまで
※ZEH支援事業等に関する最新情報や申請方法はこちらをご確認ください。
※こどもエコすまい支援事業に関する最新情報や申請方法はこちらをご確認ください。
 

ZEH補助金制度を利用する際の注意点

ZEH補助金制度を利用する際は、以下のポイントに注意しましょう。
  • 制度によって申請時期・公募方法・補助金額が異なる
  • 申請後は設計プランの変更ができない
それぞれを詳しく解説します。

制度によって申請期間・公募方法・補助金額が異なる

補助金の種類によって、申請期間や公募方法、補助金額が異なります。スケジュールが変更になる可能性もあるので、各省庁のホームページで最新情報をチェックしておきましょう。
 
なお、一般社団法人「環境共創イニシアチブ」が公表している2023年6月現在における最新の各補助事業のスケジュールは以下のとおりです。
 

申請後は設計プランの変更ができない

補助金制度に申し込んだ場合、申し込み時点からの設計プラン変更はできません。設計プランの段階で、エネルギー消費量や断熱効果を細かく計算しているためです。補助金申請をする前に設計プランを入念に確認しましょう。


まとめ

ZEH(ゼッチ)とはNet Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略で、年間に家庭で「使うエネルギー」よりも「創り出すエネルギー」のほうが多い、もしくはプラスマイナスゼロになることを目指した住宅です。2030年以降は新築住宅でZEH水準が義務化される動きがあり、今後はZEHが住宅の当たり前になっていくことが予想されます。これから家を建てる方は、ZEHのメリット・デメリットや補助金制度を理解したうえで導入を検討すると良いでしょう。