2023.10.08お金のあれこれ

住宅ローンの審査は事前審査と本審査の2段階!落ちる原因と対策を徹底解説

住宅ローンを利用するためには、2回の審査に通る必要があります。「審査」と聞くと身構えてしまう方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では「住宅ローン審査って何をチェックするの?」「落ちる原因は?」「対策はある?」と疑問をお持ちの方に向けて、以下の内容を解説します。
  • 住宅ローンの審査とは
  • 一般的な審査項目
  • 審査で落ちる原因と対策
住宅ローンの利用を検討している方、すでに審査に申し込んだけれど落ちてしまい困っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。

住宅ローンは「事前審査」と「本審査」の2段階

住宅ローンの審査は「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2段階に分かれており、本審査に進むためには、必ず事前審査に通過する必要があります。


審査が2段階になっている理由は、1度目の審査で申込者をある程度ふるいにかけるためです。住宅ローンの本審査は、売買契約が完了した後に行われます。もし本審査のみにして通らなかった場合、申込者本人だけでなく、不動産会社や売主まで損害を被る可能性があります。そこで、事前審査を設けることによって、簡易的に返済能力をチェックしているのです。

ここからは、それぞれの審査の特徴を紹介します。

事前審査では簡易的に返済能力を確認

 事前審査は、本人確認書類や自己申告などの簡易的な情報を基に行われます。事前審査にかかる期間は即日〜1週間程度です。近年ではオンライン上で手軽に事前審査が行えるサービスも増えてきており、その場合は申込者が入力した情報を基に審査が行われるのが一般的です。
 

本審査ではより厳密に返済能力を確認

事前審査に通過すると、本審査を受けることができます。本審査では本人確認書類のほか、源泉徴収票や課税証明書など金融機関から求められた書類を揃えて提出する必要があります。

金融機関側が「本当に融資しても大丈夫か」を見極めるためのステップなので、事前審査よりも厳しく行われるのが一般的です。本審査にかかる期間は1〜2週間程度です。場合によっては1ヶ月程度かかることもあります。

住宅ローンの審査項目は?

国土交通省が民間の金融機関を対象に行った調査によれば、融資を行う際に考慮する項目として、9割以上の金融機関が挙げていた項目は以下のとおりです。
  • 完済時年齢
  • 健康状態
  • 借入時年齢
  • 担保評価
  • 勤続年数
  • 連帯保証
  • 返済負担率
  • 年収
また、金融機関によっては「国籍」「雇用形態」「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」「性別」などを審査項目に加えている場合もあります。
参考:国土交通省『令和4年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書』

住宅ローンの審査で落ちる原因3選

住宅ローンの審査で落ちる主な原因は以下のとおりです。
  1. ほかのローンの借り入れがある
  2. 過去に延滞・滞納したことがある
  3. 事前審査での申告内容と実態が異なっていた
それぞれの理由について詳しく解説します。
 

1. ほかのローンの借り入れがある

住宅ローン以外にも借り入れがある場合は、審査に影響する可能性があります。審査項目のひとつに「返済負担率(返済比率)」があり、これは年収に占める年間返済額の割合を表したものです。返済負担率は「 年間返済額 ÷ 年収 × 100」で計算できます。
 
返済負担率の許容範囲は金融機関によって異なりますが、一般的には25~35%程度が目安とされています。ほかの借り入れがある場合はその分も合算して返済負担率が計算されるため、割合が増えてしまい、審査で不利になる可能性があります。
 

2. 過去に延滞・滞納したことがある

過去に延滞・滞納している場合は、個人信用情報にキズがついた状態になっている可能性があります。クレジットカードや税金、携帯電話の端末代金など、少額の延滞でも個人信用情報にキズがつきます。個人信用情報の内容は厳しく判断されるケースがあるため、心当たりのある方は注意が必要です。
 

3. 事前審査での申告内容と実態が異なっていた

事前審査の申告内容に虚偽があった場合、本審査で落ちる可能性があります。事前審査は自己申告の情報などで簡易的に診断するため、意図せず年収や勤続年数などを偽ったままで審査に通ってしまうケースがあるのです。

本審査では収入や勤務状況などを書類によって正確に確認するため、事前審査の申告内容と実態が異なっていた場合、本審査で落ちる可能性があります。
 

住宅ローンの審査前にできる対策5選

住宅ローンの審査に通る確率を上げるためにできる対策は以下のとおりです。
  1. • ほかのローンを完済しておく
  2. • 使っていないクレジットカードを整理する
  3. • 転職や独立直後のタイミングは避ける
  4. • 複数の金融機関に審査を申し込む
  5. • 個人信用情報を確認しておく
それぞれの対策について詳しく解説します。

1. ほかのローンを完済しておく

ほかのローンがある場合は、なるべく完済しておくことをおすすめします。

特に、自動車ローンの残高がある場合は注意が必要です。自動車ローンと住宅ローンの併用ができないわけではありませんが、金融機関が審査の際にチェックする「返済負担率」で不利になるおそれがあります。

審査に通ったとしても、そのほかのローンがない場合と比べて借入可能金額が少なくなる可能性があるため、できれば住宅ローン申し込み前に完済しておくのが望ましいでしょう。

2. 使っていないクレジットカードを整理する

クレジットカードを複数枚持っている場合は、審査に申し込む前に整理しておくことをおすすめします。

なぜなら、クレジットカードにキャッシング枠を設定している場合、たとえお金を借りていなくても利用限度額が返済負担率の計算に含まれてしまうからです。

使っていないクレジットカードがある場合は、解約する、キャッシング利用額を減額・廃止するなどの手段を検討してみると良いでしょう。

3. 転職や独立直後のタイミングは避ける

一般的に、転職や独立の直後は住宅ローン審査に影響しやすいと言われています。国土交通省が行った「令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査」によれば、調査対象となった民間の金融機関のうち、93.2%が「勤続年数」を審査項目としていました。

また、金融機関によっては、申し込みの条件として勤続年数や雇用形態に縛りを設けているケースもあります。そのため、転職や独立を視野に入れている場合は、住宅ローンを申し込むタイミングに注意しましょう。
参考:国土交通省『令和4年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書』
 

4. 複数の金融機関に審査を申し込む

複数の金融機関に審査を申し込むことで、住宅ローン審査に通る確率をあげられる可能性があります。なぜなら、金融機関によって審査する項目や基準が異なるからです。まったく同じ条件で申し込んだ場合でも、金融機関によって審査結果が変わる可能性があるため、3行程度は同時に申し込んでおくと良いでしょう。

住宅ローンの審査には1ヶ月程度かかるため、複数の金融機関に同時に申し込んでおくことで落ちた場合のタイムロスにも備えられます。 

5. 個人信用情報を確認しておく

自分の個人信用情報が心配な場合は、事前審査の前に確認しておくと良いでしょう。個人信用情報を調べるには、「CIC」「JICC」「KSC」などの信用情報機関に情報開示を依頼します。情報開示はそれぞれ数百円から数千円程度の手数料で行うことが可能です。

個人信用情報に延滞などの不都合な情報が記載されている場合、情報が消えてから事前審査に出したほうが通りやすくなる可能性もあるため注意しましょう。 

まとめ

住宅ローンの審査は「事前審査(仮審査)」と「本審査」の2段階です。事前審査では簡易的に、本審査では厳密に返済能力がチェックされます。審査項目や基準値は金融機関によって異なりますが、高額の借り入れがある、個人信用情報に不都合な情報が記載されているなどの場合は、本審査で不利になる可能性があるため注意しましょう。住宅ローン審査に不安がある場合は、本記事で紹介したような対策を検討してみてはいかがでしょうか。