2023.12.19家を建てるなら

建ぺい率・容積率って何?基礎知識・計算方法・緩和条件を徹底解説

土地探しの際、「建ぺい率」や「容積率」という言葉を見て「なんのこと?」と疑問に思われていませんか。計算の話が出てくると、思わず「うっ」となる方もいるのではないでしょうか。しかし、これらは簡単に言うと「その土地にどのくらいの大きさの建物が建てられるのか」を表す数値で、決して難しい話ではありません。本記事では、
  • 建ぺい率・容積率とは?
  • それぞれが緩和されるケース
  • 建ぺい率・容積率以外の建築制限
を解説します。建ぺい率・容積率をきちんと理解していないと、購入した土地に理想の家が建てられない可能性があります。これから土地探しをする方、現在探しているけれど、いまひとつ用語の意味がよく分からないという方は、この記事を読んでマスターしましょう!

建ぺい率は土地における建築面積の割合

建ぺい率とは、敷地面積に占める建築面積の割合です。敷地面積は土地の広さのことで、建築面積は簡単に言うと建物を真上から見たときの面積を指します。つまり、建ぺい率を見れば、その土地にどのくらいの広さの建物が建てられるかがわかるのです。

では、建ぺい率はどのように決まっているのかと言うと、基本的には「用途地域」によって数値が定められています。原則として、建築基準法によって土地にはそれぞれ使用用途が定められており、その分類を「用途地域」と言います。用途地域は13種類あり、工業専用地域以外であれば、住宅の建築が可能です。

用途地域別の建ぺい率は以下のとおりです。
 
用途地域 建ぺい率(%)
第1種低層住居専用地域
30、40、50、60のいずれか


 
第2種低層住居専用地域
田園住居地域
第1種中高層住居専用地域
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域 50、60、80のいずれか


 
第2種住居地域
準住居地域
準工業地域
近隣商業地域 60、80のいずれか
商業地域 80
工業地域 50、60のいずれか
工業専用地域 住宅の建築不可

たとえ同じ広さの土地であっても、建ぺい率が違えば建築可能な建物の大きさも変わります。土地いっぱいに建物が建てられるわけではないので注意しましょう。

建築面積の上限を求める計算方法

建築面積の上限は「敷地面積(㎡)×建ぺい率(%)」で計算できます。たとえば、敷地面積が100㎡で建ぺい率が60%の場合、
100㎡×60%=60㎡
で、建築面積の上限は60㎡です。

建ぺい率が緩和されるケース

以下に当てはまる場合は、それぞれ建ぺい率が緩和されます。
  • 防火地域内の耐火建築物である
  • 自治体ごとの規定をクリアした角地である
防火地域とは、火災が発生した際に被害を抑えられるように工夫されたエリアのことです。上記のいずれかに当てはまる場合は建ぺい率がそれぞれ10%、両方に当てはまる場合は20%緩和されます。
※緩和条件は各自治体の条例等によって異なります。建築される地域の自治体に確認が必要です。


容積率は土地における延床面積の割合

 容積率は、敷地面積における延床面積(のべゆかめんせき)の割合です。延床面積とは、建物のすべてのフロアの床面積の合計を指します。

建ぺい率と同様、基本的には「用途地域」ごとに以下のように定められています。
 
用途地域 容積率(%)
第1種低層住居専用地域
50、60、80、100、150、200のいずれか
 
第2種低層住居専用地域
田園住居地域
第1種中高層住居専用地域

100、150、200、300、400、500のいずれか



 
第2種中高層住居専用地域
第1種住居地域
第2種住居地域
準住居地域
準工業地域
近隣商業地域
商業地域 200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300のいずれか
工業地域 100、150、200、300、400のいずれか
工業専用地域 住宅の建築不可

ただし注意点として、敷地の前面道路幅が12m未満の場合は、用途地域によって40%または60%のいずれかの制限を受けます。40%が適用される用途地域は以下のとおりです。

  • 第1種・第2種低層住居専用地域
  • 田園住居地域
  • 第1種・2種中高層住居専用地域
  • 第1種・2種住居地域
  • 準住居地域

上記以外は60%の制限が適用されます。

たとえば、第1種低層住居専用地域の容積率200%の土地でも、前面道路幅が4mであれば4(m)×40(%)=160(%)となります。数値の小さいほうが適用されるため、この場合は用途地域別の指定容積率よりも小さくなります。
 

延床面積の上限を求める計算方法

延床面積の上限は「敷地面積(㎡)×容積率(%)」で計算できます。たとえば、敷地面積が100㎡で容積率が200%の場合、
100㎡×200%=200㎡
で、延床面積の上限は200㎡です。

容積率の計算面積として算入されない部分

 以下に該当するスペースは、容積率の計算面積とし算入されない部分となります。
  • 屋根裏部屋・ロフト
  • 建物内の駐車場
  • 出窓・吹き抜け
  • 地下室
  • バルコニー・ベランダ・庇(ひさし)
※法規上の上限設定や規定等があり、その範囲内が算入対象外となります。

容積率が足りないときは、上記のスペースを有効活用するのも良いでしょう。
特に屋根裏収納やロフトは、屋根断熱の工法を採用している住宅の方が追加しやすいこともあり、工法検討の際までに導入するかを意識しておくとよいでしょう。

建ぺい率と容積率が定められている理由

建ぺい率や容積率によって建築物の大きさが制限されている理由は、風通しや日当たりの確保、防火対策、景観の保護などです。また、建物の容積を制限することで、人口が増えすぎないようにコントロールする狙いもあります。
 
いずれも建築基準法によって定められたルールであり、規制要件を満たしていない場合は違反建築物となります。
違反建築物とみなされた場合は、住宅ローンの利用が難しくなるため注意が必要です。
 

建ぺい率・容積率以外に高さが制限される場合も

用途地域によっては、建物の高さが制限されている場合もあります。高さに関する制限には、以下のようなものがあります。

  • 道路斜線制限
  • 隣地斜線制限
  • 北側斜線制限
  • 絶対高さ制限
  • 日影規制

上記は、日当たりや風通しなどに悪影響を及ぼさないためのルールです。土地の購入を検討する場合は、建ぺい率や容積率だけでなく、そのほかの制限についてもよく確認しておくと良いでしょう。

まとめ

 
建ぺい率は敷地面積に占める建築面積の割合で、容積率は敷地面積に占める延床面積の割合を指します。建ぺい率・容積率によって「その土地にどれくらいの大きさの建築物が建てられるのか」をおおまかにイメージできます。

建ぺい率・容積率は、採光や通風の確保、防火対策などを目的として、建築基準法によって定められているルールです。住宅を建てる場合も守らなければいけません。また、建ぺい率・容積率以外に高さに関する制限がある地域もあるため、確認しておくと良いでしょう。

※上記の各種規定類は、建築基準法及び建築基準法施行令を根拠に記載しています。