スマートハウスとは、最新のテクノロジーを駆使して家の設備や電化製品を効率的に制御する住宅です。この記事では、以下のポイントをわかりやすく解説します。
- スマートハウスとは何か
- メリットとデメリット
- スマートハウスの主要な設備
スマートハウスに興味がある方や、スマートホームとの違いを理解したい方は、ぜひ参考にしてみてください。
スマートハウスとは何か?
スマートハウスとは、家の設備や電化製品をコンピューターで効率的に管理する住宅です。電力を無駄なく利用するために、HEMS(ヘムズ)というシステムを導入します。
HEMSは、以下の3つの方法でエネルギーをコントロールするのが特徴です。
- 創エネ: 太陽光発電システムを使用して、自宅で電力を生み出す
- 蓄エネ: 蓄電池や電気自動車(BEV・PHEV)を活用して余剰の電力を保存する
- 省エネ: 高効率給湯器などの節電設備を導入し、エネルギーの使用方法を最適化する
スマートハウスでは、太陽光発電システムによって生成された電力を蓄電池や電気自動車に蓄え、HEMSを通じて電力使用量を効果的に調整します。電力消費を削減し、二酸化炭素(CO₂)の排出を減少させることが主な目的です。また、自家発電によって電気代を節約できるのも大きなメリットとなります。
スマートハウスの主要な設備
スマートハウスにおいて、「省エネルギー」「創エネルギー」「蓄エネルギー」を実現するために、次の3つの設備が不可欠です。それぞれの機能や特徴について詳しく説明しましょう。
HEMS
HEMSとは「Home Energy Management System」の略で、エネルギーを可視化し、家電や電気設備を最適に稼働させるための管理システムです。HEMSのモニター画面では、以下の情報を自宅で確認できます。
- 太陽光発電システムの発電電力
- 燃料電池の発電電力
- 電力の売買状況(売電中または買電中)
- 総電力消費量
HEMSを導入すれば1日単位または1時間単位で電力使用量を把握できます。電力の使用量をこまめにチェックできるため、家族全員が節電や省エネに意識的に取り組む手助けとなるでしょう。
太陽光発電システム
太陽光発電システムは、太陽光を電力に変換する装置です。多数の太陽電池が配置されたソーラーパネルで電力を生成し、パワーコンディショナーを介して家庭で使用可能な電力に変換します。
ただし、太陽光発電システムを単独で導入した場合、発電は太陽が出ている昼間に限られてしまうのが課題です。夜間や悪天候の日には発電できず、不足分の電力は電力会社から購入する必要があります。一方で、余剰電力がある場合は、電力会社に売却して収益を得られるのがメリットです。
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蓄電池
家庭用蓄電池は、文字通り電力を蓄える装置です。太陽光発電システムによって発電されて使い切れない電力を貯蔵し、夜間や雨天時にも電力を利用できるようにします。
蓄電池があれば、太陽光発電システムのメリットを最大限に活用できるのが魅力です。太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせることで、電気代の大幅な削減が可能となります。また、災害時にも予備電源として使用でき、停電時に家電を稼働させるのに便利です。
スマートハウスのメリットとデメリット
スマートハウスは省エネ生活に貢献する一方で、いくつかのデメリットも伴います。以下で紹介するメリットとデメリットを考慮しながら、スマートハウスの導入について検討しましょう。
メリット:電気代の節約
スマートハウスの魅力の1つは、電気代を大幅に節約できる点です。太陽光発電システムと蓄電池の効果的な使用により、電力会社からの購入電力をゼロに近づけられる可能性もあります。余った電力は再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)に基づく価格で、電力会社が買い取ってくれるのもメリットです。余剰電力は家庭内で消費するほうが経済的なものの、売電に対しての理解も深めておきましょう。
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メリット:エネルギーの効率的な利用
HEMSの導入により、エネルギーの使用量が視覚的に把握しやすくなります。エネルギーの浪費を認識できるので、無駄なく使用できるのが利点です。
たとえば、HEMSを電化製品と連携させれば、自動制御や遠隔操作が実現します。外出先から家電のスイッチを操作したり、空いている部屋のエアコンや照明を自動的に消したりできて便利です。
エネルギーを効率的に利用できるため、CO₂の排出量も削減できます。スマートハウスなら、便利で快適な暮らしと環境保護の両立が可能です。
メリット:自治体の補助金制度がある
スマートハウスに太陽光発電システムや蓄電池を導入するには、初期費用がかさみます。しかし、自治体の補助金制度が適用される場合は、初期費用を軽減できるでしょう。
補助金の内容は自治体によって異なり、特定機器の設置や長期優良住宅認定などの条件が設けられている場合もあります。補助金制度を利用したい方は、事前に詳細を確認しておくのがおすすめです。
国や自治体の補助金制度は併用できる可能性が高いので、双方の公式サイトをチェックしておくと情報を見逃す心配がありません。
デメリット:初期費用と運用コストが高い
スマートハウスの最大のデメリットは、費用がかかる点です。太陽光発電システムや蓄電池、HEMSの設置には高額な初期費用がかかります。自治体の補助金制度を利用できたとしても、導入コストが無料になるわけではありません。さらに、HEMSに対応する電化製品の購入にも費用がかかります。
初期費用だけでなく、導入後の運用コストの検討も重要です。たとえば、太陽光発電システムは定期的なメンテナンスが必要で、寿命を迎えた際には廃棄費用も発生します。スマートハウスを検討する際は、初期費用とランニングコストの両方を考慮しましょう。
デメリット:太陽光発電の予測が難しい
太陽光発電は環境に左右されやすいため、天候や設置場所によっては充分な電力が確保できないリスクもあります。発電量の正確な予測が難しい側面もデメリットといえるでしょう。
たとえば、通常よりも曇りや雨の日が多い年では、計画通りの発電量を達成できない可能性が考えられます。周囲に高い建物が建ってしまった場合は十分な日射を受けられず、発電量が想定より少なくなるかもしれません。スマートハウスに太陽光発電システムを導入する際は、天候や設置場所によるリスクを慎重に検討する必要があります。
スマートハウスとスマートホームの違いに注意
スマートハウスと似た言葉に「スマートホーム」があり、混同しやすいので注意しましょう。スマートホームは、IoT(Internet of Things)を活用した住宅を指します。IoTとは、さまざまなデバイスや機器をインターネットに接続し、リモートで制御する技術です。
スマートホームでのIoTの具体的な使用例として、以下のような機能があります。
- 外出先からスマートフォンを使ってエアコンの電源や温度設定を操作
- ペットの状態を遠隔で見守れるカメラ
- 冷蔵庫が庫内の食材の減り具合をセンサーで感知して通知
- 音声で照明の明るさを調整できる
- 自動的に室内を掃除してくれるロボット掃除機
スマートハウスは省エネやエコロジーに特化し、スマートホームは利便性を重視しているのが相違点です。2つの言葉を同じ意味で使用するケースもあるので、本来は異なる意味を持つと理解しておく必要があります。
スマートハウスは省エネで経済的な住宅
スマートハウスは省エネ生活を効率的に実現できる住宅です。電気代の節約だけでなく、二酸化炭素の排出量削減にも貢献できます。太陽光発電システムや蓄電池、HEMSの導入には初期費用がかかるものの、光熱費を節約できる経済的なシステムです。スマートハウスの導入は、自治体の補助金制度やランニングコストも考慮しながら検討しましょう。