2024.08.19家を建てるなら

ペットとの暮らしを考えた住宅づくりのポイント

住宅を建てる際は、家族の一員として暮らすペットにも配慮が必要です。人間だけでなく、犬や猫も快適に過ごせる環境とはどのような家でしょうか。この記事では、ペットとの暮らしに焦点を当てて、以下のポイントについて解説いたします。
  • ペットが心地よく暮らせる住宅の性能
  • ペットの特性に合わせた注意ポイント
  • 犬や猫との暮らしにおすすめの間取り
ペットとの暮らしをより豊かにしたい方や、具体的なアイデアをお求めの方は、ぜひ参考にお読みください。


ペットと快適に暮らすために必要な住宅性能とは?

ペットが快適に過ごせる住宅は、人間にとっても住み心地が良い環境です。設計段階で検討しておくと入居後に後悔しにくい、便利な性能を3つ紹介します。

室温と湿度の管理

ペットは人間よりも体温調整がむずかしいため、室内の温度と湿度を快適に保つ必要があります。たとえば、犬にとって快適な温度は21〜25℃、湿度は50〜60%が理想的です。エアコンの冷暖房でコントロールしようとすると、人間にとっては寒すぎてしまう場合もあります。

高気密・高断熱の住宅は、外気温に影響を受けにくいのが特徴です。エアコンに頼らなくとも、1年を通して快適な室温が維持できておすすめです。

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換気システムの活用

 ペットとの生活では臭いが気になるものの、予め24時間換気システムの設計時に考慮しておくことはできます。常に新鮮な空気を室内に取り入れるのはもちろん、ペットの臭いが出やすい空間には排気口を設けておく等、臭いが他の部屋に広がらないように調整することが可能です。

ペットの臭いは家族にはわかりにくい場合も多いので、来客のためにも換気システムの設計時に慎重に検討しましょう。

騒音対策

 ペットとの生活は、鳴き声による騒音にも注意が必要です。とくに犬の場合、しつけができていても老化による無駄吠えが発生することも考えられます。夜中に大きな声で鳴いてしまうと、近隣に迷惑を及ぼしてしまいます。

騒音対策として、断熱効果の高い樹脂サッシを取りつける方法があります。樹脂サッシは、断熱性能を高める為に気密性能も高い仕様であることが多いため、副次的に遮音効果も期待できるものになっています。


ペットの特性にあった住宅を設計するためのポイント

住宅を建てるにあたって、ペットの特性を理解しておく必要があります。人間とペットが、互いにストレスなく暮らせる間取りのヒントが詰まっているためです。ここでは、犬と猫の特性と住宅のポイントを5つずつ紹介します。

一般的な犬の特性と住宅ポイント

  1. 運動が好き: 犬は自由に走り回る習性があるので、広い間取りで走り回れるスペースが必要です。
  2. 好奇心旺盛: 窓の外の景色や通行人を見られる窓があると、おとなしく外を眺めます。
  3. 何かに触れて眠りたい: 眠るときに何かに触れていると安心する犬が多いので、壁の近くに寝床を設けてあげると安眠できます。
  4. 寂しがりや: リビングルームの一角や家族の様子が見える位置に専用スペースをつくると喜びます。
  5. 暑さに弱い: 室温の管理をこまめにおこない、脱水症や熱中症に注意が必要です。

一般的な猫の特性と住宅ポイント

  1. 高い場所が落ち着く: 猫は高所を好む傾向があり、高い場所に居場所をつくると落ち着きます。
  2. 日当たりが大事: 外に出る機会が少ない分、太陽の光が入る窓辺でまどろむのが好きです。
  3. 狭い場所を好む: 猫は狭くて暗い場所が安心できる習性があり、小さな空間を用意しておくと喜びます。
  4. 爪とぎは習性: 爪とぎをやめさせることはむずかしいので、 専用の爪とぎを用意します。
  5. 狭い隙間を通り抜けられる: 窓やドアの隙間から逃げてしまわないよう、逃げ出し防止の対策が必要です。


犬との快適な生活を考慮したおすすめ間取り

愛犬と一緒に暮らせる住宅の間取りは、特性や好みを考慮して検討する必要があります。飼い主さんがストレスを感じず、お世話が楽になる間取りを5つ紹介しましょう。

散歩から室内への導線がスムーズ

犬の散歩にはリードの着脱やトイレの準備が必要で、毎日の手間をストレスに感じる飼い主さんも多くいます。負担を軽くするために、玄関のシューズクロークに散歩に必要なアイテムを収納しておくと準備が簡単です。また、玄関周辺にマルチシンクやゴミ箱を配置しておけば、排泄物の処理や足を洗う作業がスムーズに進みます。

ウッドデッキを設置

犬は外で活動した後、室内でくつろぐ時間も好きです。ウッドデッキがあれば、雨の日で散歩に行けなくても運動不足になりません。リビングから続いているため、家族は室内から見守れるので快適です。ウッドデッキは人間にとっても魅力的で、晴れた日には家族でBBQや日光浴も楽しめます。

屋上をドッグランにする

住宅の屋上をドッグランとして活用できる仕様にすると、周囲の目を気にせずに犬を自由に遊ばせられます。飼い主さんも通行人や周囲の安全に気を遣わずに済むので、お互いにとって理想的な空間です。散歩にでかけない室内犬や歩行がむずかしくなってきたシニア犬も、太陽の光や風を感じられて気分転換できます。

室内に犬専用スペースを設ける

 犬がリラックスできる専用スペースを室内に用意してあげると、のんびりと時間を過ごしやすくなります。犬は人が好きなので、家族の様子が見渡せる場所に専用スペースを配置するのがポイントです。また、臭いの問題がなければ、トイレを近くに置くと目が行き届きやすくなり粗相を減らせます。

犬目線の扉や窓を設計

 来客や家族の帰宅で興奮した犬は、玄関から飛び出す可能性があります。安全対策として、玄関ホールにフェンスを設置しておくと安心です。犬の同席がむずかしい場面でも隔離できるので、程よいスペースを設けるといいでしょう。また、飼い主さんが留守にしがちの家庭では帰宅の様子がわかる位置に窓を設置するのもおすすめです。


猫との快適な生活を考慮したおすすめ間取り

猫との生活は、犬と考慮すべきポイントが異なります。猫は自由気ままな性質なので、マイペースに過ごせる環境を整えてあげるのが大切です。具体的な間取りのアイデアを5つ、紹介しましょう。

運動不足を防ぐ

キャットウォークやキャットタワーを設置して、高い場所への上り下りを自由に楽しめるようにします。室内生活が基本の猫にとって、運動不足は大敵です。床から天井にかけて「縦の空間」を有効活用すれば、居住スペースは圧迫されません。キャットタワーの柱の部分に爪とぎを設置すると、住宅の壁や床に爪を立てるのを防げます。

スムーズな移動をサポート

猫が自由気ままに部屋から部屋へ移動できるよう、壁にくぐり戸を取りつけるのもおすすめです。あらかじめくぐり戸がついているタイプのドアを選べば、人間が扉を開け閉めする手間が省けます。エアコンを使用している時期は、ドアの開閉を減らせるので電気代の節約にも一役買います。

採光に注意を払う

猫は太陽の光が差し込む暖かい場所を好み、窓辺や陽だまりは絶好の昼寝スポットです。窓際に猫が座れる台座を設け、好きなタイミングで眠れるようにしてあげましょう。窓から外を眺める習性もあるので、景観も意識して窓の位置を選ぶのもおすすめです。ただし、猫はわずかなすき間でも通り抜けてしまうので、窓から逃げ出さないように対策が必要です。

トイレの設備を整える

 猫の排泄物は臭いがきついものですが、猫は清潔な場所でないと排泄しない習性があるため、常にきれいにしておく必要があります。日中不在にしがちな場合、全自動トイレを設置すれば掃除の心配がいりません。また、人目があると排泄を嫌がるので、設置場所は慎重に検討しましょう。


ペットとの暮らしを考えて住宅の間取りを計画しよう

ペットとの暮らしを想定して住宅設計するためには、家族全員が快適に暮らせる間取りが重要です。配置だけでなく、住宅の性能にも配慮すれば快適さが増します。とくに、室温を快適に保てる「断熱性」の確保と、臭い問題を解消するための「換気システムの配置計画」は重要な要素となります。高性能住宅の販売実績の多い住宅会社を選び、ペットと一緒に快適に暮らせる住居を実現しましょう。