理想の生活空間を実現するための家づくりは、間取りが重要なポイントです。注文住宅では住む人のニーズやライフスタイルに合った間取りを決められる分、慎重に考える必要があります。この記事では住宅の新築を考えている方に向けて、以下の内容をわかりやすく解説しましょう。
- 間取りを考える前におこなうこと
- 部屋の配置を大まかに考えるゾーニングについて
- 間取りの考え方に欠かせないポイントやアイデア
家族全員が満足できる家を建てたい方やストレスフリーな毎日を送りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
マイホームの間取りを考える3つのステップ
マイホームの間取りを思い描く際に、SNSやインテリア雑誌に触発される方は多くいます。しかし、間取りは実際のライフスタイルに合っていないと快適な生活が送れません。理想と現実のギャップを埋めるためにも、次の3つのステップを踏みましょう。
1.生活リズムを把握する
間取りを考える前に、家族の1日のスケジュールを書き出してみます。家族全員の生活リズムを把握すると、洗面所やキッチンなどの必要なスペースや部屋ごとの動線が明確になるためです。家族がストレスなく生活するためには、互いに心地よく過ごせる空間に仕上げることが重要です。
2.家族の要望を共有する
同じ家に住んでいても、家族の希望や不満はそれぞれ異なります。まずは全員の意見を共有し、話し合いを重ねながら優先順位をつけていきましょう。予算や広さ、建築条件についても考慮し、家族全員が納得できる間取りを目指します。
3.土地の特性を踏まえる
土地の広さや形状によって、建てられる家のデザインや間取りは変化します。たとえば、南向きの窓は陽射しがたっぷり入るため、リビングに最適です。建築予定地の特徴を十分に理解したうえで、快適な生活ができる間取りを検討しましょう。
間取りのイメージを広げるゾーニング
家族の生活スタイルや建築予定地の特徴を理解したら、部屋の配置を大まかに考えます。具体的な広さや収納の位置を考慮する前に、どの辺りにどのような空間を配置したいかをイメージするだけで十分です。この建物の空間を機能や用途別に区切る作業を「ゾーニング」と呼びます。
ゾーニングの種類 |
・ パブリックゾーン : 家族がくつろぐ場所
・ プライベートゾーン : 個人がくつろぐ場所
・ サニタリーゾーン : 浴室、洗面所、トイレなど
・ エントランスゾーン : 家の出入りする場所
・ 通路ゾーン : 家の中を行き来する通路
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ゾーニングの順番は、駐車場や玄関の位置からはじめるとスムーズです。周辺環境や方角を考慮しながら家の向きを決めたら、家族が集まるリビングやダイニングを配置していきます。生活スタイルにもよるものの、日当たりの良い場所にLDKを配置するのが一般的です。その後、サニタリーゾーンやプライベートゾーンと進めていきましょう。
快適な間取りを叶える5つの動線
ゾーニングで部屋の配置が大まかに決まったら、具体的な間取りの検討に入ります。間取りを考えるうえで欠かせないのが、部屋と部屋をつなぐ「動線」です。朝の時間を例に挙げれば、料理や洗濯、子どもの世話など、さまざまな場所を移動します。建物内の人の移動経路を表したものを「動線」と呼び、家の間取りを考える際に重要なものは以下の5つです。
- 家事動線:キッチンや洗濯などの家事に関する動線
- 生活動線:リビングからトイレやお風呂への動線を含む、生活全般の移動に関する動線
- 来客動線:お客様が家を訪れた際の動線
- 通勤動線:家族が仕事や学校へ出かける際に通る経路に関する動線
- 衛生動線:トイレや浴室への移動に注目し、快適な衛生環境を整える動線
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これらの動線を考慮しながら間取りを設計すると、家族の生活がよりスムーズで快適になります。すべての動線を実現するのはむずかしいので、優先順位をつけてバランス良く調整しましょう。
間取りに適した収納のアイデアと考え方
家の間取りが決まったら、収納についても計画しておくと快適な住まいが実現可能です。一戸建て住宅の収納スペースは、床面積の12〜15%程度が目安とされています。家族の人数やライフスタイルによって必要な収納量は異なるので、あくまでも目安に過ぎません。注文住宅を考えている方は、ご自身に合った収納スペースを確保しましょう。
収納の問題点を洗い出す
ご自身に合った収納を考えるにあたって、現在の生活での問題点や不満を明確にします。まずは、次のように悩みや不便な点を書き出してみましょう。
- リビングが散らかっている
- 子どものおもちゃが散乱している
- 学校から持ち帰ったプリントをなくしてしまう
- 生活必需品のストックをしまう場所がない
- 玄関が靴やベビーカー、趣味の道具で溢れている
具体的に思いつかない場合は、そのままの状態で各部屋を撮影してみます。普段の様子を客観視でき、現実的な問題を把握しやすくなるためです。ハウスメーカーや工務店で間取りを相談する際は、きれいに片付いた状態を見せても意味がありません。本当に必要な収納を考えるためには、「普段の生活」を踏まえる必要があります。
収納スペースの大きさよりも機能が重要
収納の問題が明らかになったら、具体的な広さを考えます。何でも収納できるように大きなスペースを確保したくなるかもしれませんが、整理整頓がむずかしくなる点に注意が必要です。
収納の基本は、「必要なものがすぐに取り出せる」「家族全員が収納場所を把握できる」という考え方です。たとえば、ダイニングの近くに食器やグラスを収納すれば食事の準備がスムーズになり、浴室の近くにタオルや浴室用洗剤を収納すれば入浴や浴室の掃除がスムーズになります。一戸建て住宅では部屋ごとに収納を考え、空間の目的に合ったアイテムを収納できる機能性も重要です。
理想の間取りを見つけるためのアドバイス
はじめての家づくりで理想の間取りを見つけるのはむずかしく、時間がかかってしまうケースも多く見受けられます。間取りの考え方をスムーズにする効果的な方法は以下の3つです。
アイデアのピックアップ
家づくりのアイデアを考えるにあたって、さまざまな間取りや事例を参考にしましょう。その中でマイホームに採り入れたいアイデアや好みの要素をピックアップします。ハウスメーカーや工務店との打ち合わせに持参すれば、具体的なイメージを伝えやすくなるのでおすすめです。
理想と現実のバランスを考える
カタログやモデルハウスで紹介されている間取りは非常に魅力的なものの、実際の生活には不向きな場合もあります。すべてを真似するのではなく、住みやすい家に必要な部分だけを採り入れましょう。予算や家族構成も考慮し、優先順位の高いものから間取りに採用していきます。
専門家のアドバイスを活用
住宅の間取りを考える作業は素人にはむずかしい部分も多く、家族の意見が分かれたり、何を重視すべきか迷ったりしてしまうかもしれません。家づくりでの困りごとは、ハウスメーカーや工務店に相談するのがおすすめです。地域に古くからある業者なら、土地に合ったアドバイスをしてもらえるでしょう。
マイホームの間取りは家族の夢をカタチにしよう