宝安湾と南シナ海を見晴らす「宝安文化コンプレックス」は、深圳市の新しいパブリック・キャンパスを想像する建築群のマスタープランである。他方で海岸沿いのランドスケープと、内陸のより高密度開発された都心の商業エリアをコネクトさせる目的がある。
延床面積約110,000㎡の「宝安文化コンプレックス」は、図書館、文化センター、パフォーミング・アーツ・センターを含む指名コンペで、香港のロッコ・デザイン・アーキテクツが優勝。図書館、ユース・パレス&文化アート・センターが、第1期計画の一部として完成した。追加のパフォーミング・アーツ・センターは現在工事中であり、今年中には完成予定だ。
マスタープランでは、3つの建物を内陸方向から海岸に延びる中央軸線上に配置している。建築相互の間に配されたパブリック・プラザと建築群によって凝集的な文化キャンパスを形成し。海を見晴らす新しいパブリックな集会スペースを生み出し、都心と海岸を一連の内外空間でリンクさせている。
建物のファサードは中国南部の伝統的な象牙や木造の彫刻技術にインスパイアーされた有機的フォルムのデザイン。建物のファサードは、光や見る位置により表情を変える穴あきスキン・システムで覆われている。これにより視覚的には統一されたコンプレックスに見えるが、他方3棟の建物は個々の特徴あるアイデンティティーを見せて面白い。繊細なファサードは・デザインが爽やかな印象で素晴らしい。
図書館は約32,000㎡の延床面積に、閲覧室、書棚群、管理施設、ミュージアム、展示ホールを内容している。高さ20mもあるリニアなアトリウムには、外部のランドスケープされたパブリック・プラザが延長され、その中心部にはパブリックな集会スペースが生まれた。この辺りの開放感は圧巻だ。
図書館の先には延床面積約11,300㎡のユース・パレス&文化アート・センターがある。この建物はひとつだが、内部は中央にある屋外コートヤードとアンフィシアターによって2分されている。一方にはテクノロジー・ルームや子供アート・センターなどのユース
パレス的なプログラムが配され、他方の文化アート・センターにはパフォーマンス・スペース、アート・スタジオ、ギャラリーなどがある。屋外コートヤードとアンフィシアターは、ふたつの棟をつなぐと同時に、自然光や換気を両棟にもたらせるソーシャル・コアとして機能している。
延床面積約20,600㎡おnパフォーマンス・アーツ・センターは現在工事中であり、敷地全体の南端部に位置する。建物は高く伸び上がって、海に挨拶する仕草のデザイン。ショップやレストランを1階周りに配置し、ストリートを活気づけて建物を同市に連携させている。また大階段が歩行者を1,500席のパフォーマンス・ホールに呼び込む。建物にはより小さな600席のホールもある。ビジターはフライ・タワーの上部にある大きなリハーサル室から、宝安湾と南シナ海のパノラミックな景観を満喫できる素晴らしさ。
宝安は深圳市の新しい海浜アーバン・センター地区だ。「宝安文化コンプレックス」は、新しい同エリアの希望と発展を具現化している。建築群やオープン・スペースのアンサンブルは、単なるそれら個々の集積を超えて、新しい文化的中心地を活性化している。