スイマーたちで賑わう広場の背後に見えるふたつの３角錐形の建物が「オーフスΦ（ファイ）４集合住宅」である。

北欧諸国でも一番南にあるデンマークは、首都であるコペンハーゲンはシェラン島にあるが、第２の都市オーフスはヨーロッパの陸続きであるユトランド半島にある。「オーフス Φ４(ファイ・フォー)集合住宅」は、“オーフスΦ“と呼ばれる新しい都市開発における人工島Φ4の先端部に位置している。この開発は港と湾、すなわち都市と自然の中間地域にあり、両者の素晴らしいパノラマを満喫できる一等地にある。

ビヤルケ・インゲルスは、オーフスにおける既存の典型的な都市エレメントのタイポロジーであるコートヤード・ビル、連続住宅、高層ビルなどのエッセンスを、ひとつの集合宅に凝縮した。「オーフスΦ４集合住宅」は平行四辺形のプランをもち、コートヤードも同形となっている。相対する鋭角形のふたつのコーナーは、山の頂のように種々の高さに立ち上がり、段状になったルーフスケープが戸外活動用の大きなプライベート・テラスを生み出している。いわばツイン・ピークス・ハウジングともいえそうなシャープな外観が特徴だ。

各所にあるアウトドア・スペースの延長として、連続的なバルコニーが建物全体をぐるりと取り巻いている。長いバルコニーは、コートヤードの中にあるより小さなバルコニー群によって区切られている。と同時にそれらの小さなバルコニーは、十分なアウトドア・スペースを全ての住戸に与えている。

「オーフスΦ４集合住宅」のグリーン・ハートともいうべきコートヤードは、全ての住民に共有するガーデンを提供し、野菜や果樹を育て、アウトドアでのコミュニティー・ディナーの開催もしている。

建物のストリート・レベルには、個人用の海浜レジャー施設や、オーフス市の進行する都市開発をサポートする商業施設などが入っている。北東方向には２階建てのカナル・ハウスが海に面しており、人々は直接海に入って水泳をしたり、散歩を楽しんだりすることができる。

南西側コーナーでは共有のコミュニティー・スペースが、正面に大きなテラスをもつアーバン・スペースへと連続している。この多目的スペースは、周囲のストリートに対し、華やかなファサードを見せている。他方同時に建物中心部に隠されたパーキング・エリアをカバーしている。
　
その本質において、「オーフスΦ４集合住宅」はデンマーク第２の都市の既存の建築レガシーを包含しつつ、また港と都市のスカイラインに登場したダイナミックな新しい建築のビーコンを発信している。

「オーフス Φ４集合住宅」は、新しい都市開発“オーフスΦ“における人工島Φ４の先端部に位置している。

俯瞰するとふたつの３角錐形の建物は、傾斜した内側が湾曲状にえぐられコートヤードができている。コートヤード側には多数のテラスやバルコニーが装備されている。

建物の鋭角的コーナーを海側から見る。最上部の小さなペント・ハウスはどうなっているのか気になる。左手の海水部分は湾内で、右手は海側となる。

海側からの立面。海際でこれだけガラス面が多いと太陽光が十分以上入るが、北国ゆえの許容範囲なのであろう。

コートヤードの樹木はまだ小さいが、すでに園芸や野菜栽培は行われているのが見える。

住戸のリビングから海側を見晴らす。

２階平面図

１０階平面図

ダイヤグラムー１、ダイヤグラムー2

ダイヤグラムー３、ダイヤグラムー4

ダイヤグラムー５、ダイヤグラムー6

ダイヤグラムー7、ダイヤグラムー8