2024.10.04お金のあれこれ

つなぎ融資とは?自己資金に不安があっても住宅購入をサポート

自己資金が足りなくても住宅購入をあきらめずに済む方法があります。「マイホームの資金を教育費にまわしたい」「土地の購入は無理だと感じている」という方も、この記事を読めば理想の家を手に入れられるかもしれません。
今回は、住宅購入に役立つ「つなぎ融資」の仕組みや手続きの流れ、メリット・デメリットをお伝えします。住宅を新築予定の方や資金調達に苦戦している方は、最後までお読みください。


つなぎ融資は建物完成前の費用の捻出に役立つ

つなぎ融資とは、土地の購入や建築工事費用に充てるための借入制度です。通常の住宅ローンは建物完成後に実行されるため、マイホームの購入には自己資金が必要とされています。まとまった資金がなくても地代や工事費用を支払え、住宅購入者にとっては心強い味方です。

住宅ローンとの違い

つなぎ融資と住宅ローンの決定的な違いは、融資がはじまるタイミングです。つなぎ融資は、住宅購入時から建物の完成前までにかかる費用が対象です。一方、住宅ローンは、建物の完成後に引き渡しをおこなった時点から融資が開始されます。つまり、自己資金や購入する住宅によって、必要な人と必要でない人に分かれる融資です。

つなぎ融資を必要とする人

住宅購入にあたって自己資金が十分に足りている人は、融資を受ける必要はありません。建売住宅やマンションを購入する場合も、住宅ローンのみで対応できる可能性があります。住宅ローンを組む予定があり、自己資金に余裕がない人にとっては「つなぎ融資」が必要です。

融資期間や金利について

つなぎ融資の融資期間に決まりはなく、住宅ローンの実行日までが一般的です。無担保での融資となっているため、金融機関にとっては返済リスクの高い商品となります。そのため、金利は高めに設定され、利息は日割りで発生するケースがほとんどです。多めに借入れるというよりは、必要な額を融資してもらうようにしましょう。

申し込みのタイミング

つなぎ融資を申し込むタイミングは、土地の購入など最初の支払いの2か月前が目安です。融資を受けるには、住宅ローンの審査に合格している必要があります。住宅ローンの審査には時間がかかるケースもあるので、住宅購入を決めたら早い段階で申請手続きを進めるのが重要です。人気物件の場合、手続きが遅れてしまうとほかの人に買われてしまう可能性もあります。

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つなぎ融資を活用できる2つの場面とメリット

住宅購入時につなぎ融資を活用できる場面として、「新築住宅の購入」と「マイホームの買換え」があります。どちらも住宅ローンの適用までに、まとまった資金が必要となるシチュエーションです。それぞれの場面での活用方法とメリットについて解説しましょう。

住宅購入時の活用法とメリット

土地を購入して一戸建て住宅を建てる場合、建物が完成するまでにかかる費用は自己資金で支払う必要があります。手元にまとまった資金がない場合、土地の購入や工事の着工金の支払いができません。つなぎ融資を受ければ、住宅ローンが開始されるまでの費用を賄えるようになります。自己資金に不安があっても住宅購入できるというのが最大のメリットです。

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住宅買換え時の活用方法とメリット

マイホームの買換えをおこなう際は、住宅の売却金を資金に新居を購入します。しかし、場合によっては、順番が逆になってしまったり、同時に売買が成立してしまったりするケースもあるでしょう。手元に新居を購入するための資金がない状態でも、つなぎ融資を受ければ購入費に充てられます。あえて先に新居を購入し、現在の住まいを空にしてハウスクリーニングを済ませてから高値で売り出すのも1つの活用方法です。


つなぎ融資のデメリットと留意したいポイント

つなぎ融資の活用方法やメリットは非常に魅力的なものの、デメリットも存在します。住宅購入には高額な費用が必要となるため、事前にリスク回避が必要です。デメリットと留意点を解説しますので、参考にしてみてください。

金利の設定が高め

つなぎ融資の金利は住宅ローンと比べて高めに設定されており、2.0〜4.0%程度掛かることが一般的です。利息は日割り計算が主流なため、借入期間が長いほど総借入額も多くなります。金利や利息は金融機関ごとに異なるため、事前に確認してから利用しましょう。インターネットでも返済シミュレーションをおこなえるので、無理のない範囲での借入が可能です。

手数料や諸費用も用意する

つなぎ融資を受けるにあたって、以下のような手数料や諸費用が発生します。
  • 事務手数料
  • 収入印紙税
  • 電子契約事務手数料
  • 住宅融資保険手数料など
事務手数料は10万円を超える場合もあり、決して安くはありません。くわしい金額は金融機関で案内してもらえるので、具体的な金額を把握してから判断しましょう。

利用できる金融機関が限定される

つなぎ融資は、すべての金融機関が取り扱っているサービスではありません。住宅ローンと同じ金融機関を利用するのが原則のため、住宅ローンの商品内容もあわせて検討する必要があります。それぞれの条件を確認し、返済に負担がかからない借入先を探しましょう。選定には時間がかかるので、できるだけ早い段階で取り掛かるのがおすすめです。

住宅ローン減税の対象にはならない

住宅ローン減税とは、年末のローン残高の0.7%を所得税から最大13年間控除する制度(2024年9月現在)です。適用にはいくつかの条件があり、つなぎ融資は「住宅の引き渡し日か工事の完了から6か月以内に居住する」という条件を満たしません。そのため、住宅ローンが適用されるまでの間は控除の対象外となります。
(出典:国土交通省「住宅ローン減税」)
(参考:国税庁「No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)」)


つなぎ融資を受けるまでの流れ

つなぎ融資を申請してから受け取るまでの手続きや流れは、金融機関によって異なります。ここでは一般的な流れをもとに、住宅購入者が住宅ローンと共に申し込んだ場合の手順を見てみましょう。

1.資金計画を立てる

住宅購入を決めたら、まずは資金計画を立てるのが重要です。資金によって居住地や住宅の種類、間取りが変わってくるためです。資金計画は金融機関に相談する方法もありますが、大手ハウスメーカーや工務店でも対応してもらえます。

2.金融機関を選ぶ

資金調達の目途が経ったら、融資を受ける金融機関を探します。住宅ローンとあわせて申し込む場合は、両方を扱う金融機関を利用するのが原則です。商品の内容を比較検討し、無理のない返済ができるかどうか慎重に検討します。

3.住宅ローンの審査を受ける

つなぎ融資を受けるためには、住宅ローンの審査に合格しなくてはなりません。審査には時間がかかるため、できるだけ早めに申請しましょう。必要な書類を提出し、審査に通れば融資が実行されます。

4.建築前にかかる費用の支払い

土地の購入や着工金、工事の途中に発生する中間金(上棟金)の支払いをおこないます。代金が必要となるタイミングで、都度つなぎ融資を受け取る仕組みです。工事をスムーズに進めるためにも、スケジュールを確認し円滑に手続きを進めます。

5.つなぎ融資の完済

つなぎ融資は、住宅ローンが実行される時点で完済されるシステムです。住宅が完成し、建物の引き渡しがおこなわれるタイミングで住宅ローンに引き継がれます。以降は、契約に応じた返済をおこないましょう。


つなぎ融資に似ている住宅ローンの分割融資

つなぎ融資と同じように利用できる資金調達の方法として、「住宅ローンの分割融資」があります。住宅ローンの借入金を複数回に分けて受け取れる仕組みで、建物の引き渡し前でも融資を受け取れるのが特徴です。

分割融資なら住宅ローンと一緒に申請できるので、審査も1回で済みます。審査にかかる手数料や諸費用も節約でき、申請手続きの手間も省けるのがメリットです。住宅ローン控除の対象にも含まれるため、減税措置も受けられます。

ただし、手数料はつなぎ融資と比べて割高に設定されているのが難点です。分割融資を取り扱う金融機関は少なく、金利が低いとされるネット銀行ではゼロに等しい状態となっています。住宅ローンの借入額が多い場合、総返済額が多額になる可能性もあるので注意が必要です。

双方にメリットとデメリットがあり、どちらが適しているかは個人によります。専門家の意見を参考に、ご自身に合った方法を選択しましょう。

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つなぎ融資は上手に活用しよう

つなぎ融資は理想のマイホームを手に入れるにあたって心強い味方です。しかし、金利の高さや取り扱う金融機関の少なさなどの難点もあります。仕組みを理解しておかないと、ローンの返済に苦しむ恐れもあるので注意が必要です。
実績のあるハウスメーカーや工務店では、資金調達の相談にものってくれるので、不明な点や不安があれば気軽に質問してみましょう。